2017年度税制改正に向けて、諸控除を見直し、税負担の累進性を高めることで低所得層の負担軽減をはかろうとしています。諸控除とは、所得から一定額を差し引くことで課税対象額を減らす仕組みです。基礎控除や配偶者控除などが含まれます。所得に応じて税率がきつくなる累進と呼ばれる構造の下では、所得から同じ額を引くと、税率の高い高収入者ほど有利になってしまいます。
一方、所得にかかわらず税金から一定額を差し引く税額控除ならば、低所得者にとってのメリットが大きくなります。政府税制調査会は、2017年度改正で所得税の最高税率は据え置きつつも、所得控除から税額控除への切り替えを進めようとしています。これにより中低所得者への所得再配分を強めることを目的としています。専業主婦を優遇する配偶者控除は、共働きでも控除が受けられる仕組みに変える方向で検討します。こうした子育て世帯への所得の再配分を増やして、女性の労働参加を後押しし、経済の活力を高めようとしています。
(2016年8月23日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)