近年、専業主夫が増加してきています。会社員や公務員などに扶養されている、国民年金の第3号被保険者のうち、男性の数は1990年代はおおむね4万人でしたが、2007年度以降は10万人台で推移しています。雇用が不安定になってきたことや、妻も稼げる時代になってきたことが背景にあります。
ひと昔前の専業主夫は、社会通念と闘っている感じを受けました。しかし、働く妻に子どもが生まれたこと、病気、失職、介護などをきっかけに、家族の形として専業主夫を自然に選んでいると思われます。女性がキャリアを有し、高収入である場合、専業主夫志向の男性が増えても良いと思います。しかし、経済の先行きが不透明な時代、今後は夫婦共働きが主流になると思われます。女性は、現実には夫に稼いでほしいと思っている人が多いと思います。しかし、働く女性を幸せにしている専業主夫がいるのも多様な家族形態の一つです。
(2016年7月21日 読売新聞)
(吉村 やすのり)