自治体は、待機児どの大半を占める0~2歳児を受け入れる保育施設を急ピッチで増やしています。しかし、3歳からの預け先に困るケースが発生しています。都市部の保育所では、2歳児からの持ち上がりで3歳児の定員が埋まってしまうことが多いことによります。3歳児からの預け先が見つからなければ、また待機児童となってしまいます。0~2歳児を受けいれる小規模保育は、昨年4月から認可保育所と同様、自治体の認可事業となっています。定員は19人までと保育所に比べて規模が小さいため、マンションやビルの空き部屋を使って早く開設ができる利点があります。近年、都内の小規模保育の利用児童数は増加しています。
3歳の壁への対応策として期待されているのが、園庭など施設面が充実している幼稚園です。幼稚園が預かり保育に踏み出すにはハードルも多くみられます。幼稚園の開園時間は、一般的に午前9時から午後2時までの5時間で、夏休みなどの休園期間も長くなっています。通年で長時間開園することに職員の抵抗感があります。幼稚園が預かり保育を実施すれば、教育を重視する働く親にとっては選択肢が広がります。幼稚園側にとっても児童を確保できるメリットがあります。
(2016年8月26日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)