高齢者の血糖管理

 わが国の70歳以上の4割が、糖尿病かその予備軍です。糖尿病で血糖値が高いと認知症などのリスクが高まる一方で、治療で低血糖になっても症状が出にくく、重症になるケースも問題となってきています。日本糖尿病学会と日本老年医学会の合同委員会は、65歳以上の患者に向けた血糖管理の目標値を発表しています。重症の低血糖を起こすリスクを下げるため、体の状態や年齢に応じて従来の値を少し緩和しています。糖尿病患者の血糖は、低めに保つほどいいと考えられていました。しかし、高齢の患者を対象とした国内の研究で、脳卒中は血糖が高くても低くても起きやすいとの報告が出されています。
 血糖値は血液1㎗当たりの㎎で表され、食事などで変動します。これに対してHbA1cは長期的な血糖の傾向を示すことから、血糖管理の指標としてよく使われます。空腹時血糖値が126以上、HbA1cが6.5%以上の場合などに糖尿病が疑われます。高齢者の特性に応じたケアが大切となります。

(2016年7月6日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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