核置換移植技術は、ミトコンドリア病の発症の回避や卵子の若返りなどに使用される可能性のある技術です。方法には2種類あります。1つは未受精卵の核を取り出し、別の除核した卵子に核移植する方法です。もう1つは、受精卵の核を別の除核した卵子に移植する方法です。
英国においてヒト胚核移植胚を用いてミトコンドリア提供の臨床応用を認める法律が、平成27年10月に施行されました。わが国においては、ヒト胚核移植胚については、現在「特定胚の取扱いに関する指針」において、作成や使用が認められていません。さらに、厚生労働省は、平成15年4月に取りまとめた「精子・卵子・胚の提供等による生殖補助医療制度の整備に関する報告書」において、卵子を用いた細胞質置換及び核置換の技術は、遺伝子の改変の可能性が否定できないなど、安全性についての科学的な知見が十分集積していないことから、当分の間、生殖補助医療に用いることは認めないとしています。
(吉村 やすのり)