日本の労働生産性

 2016年版の中小企業白書によれば、中小企業の製造業の労働生産性は大企業の半分以下です。日本の全産業で見た労働生産性も、経済協力開発機構(OECD)の加盟国34カ国中22位にあたります。これは、米国の6割程度の水準にすぎません。持続的な賃上げには中小企業の生産性向上が欠かせません。
 安倍政権は時給1000円を目指して最低賃金を毎年度3%程度引き上げる方針を掲げています。日本の最低賃金の水準は先進諸国の中で低い状況にあります。OECDの中で、フランスやドイツの6割程度にとどまっています。女性や高齢者の就労意欲を引き出すためにも最低賃金の引き上げが求められます。しかし、最低賃金の上昇は、企業の生産性の向上と相まって進むことが重要です。人件費負担の重さが、雇用削減を招くような事態は防がなければなりません。

(2016年7月28日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)

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