政府税制調査会は、専業主婦の世帯を優遇する配偶者控除を見直し、共働き世帯の負担も軽くする夫婦控除の創設を検討します。配偶者控除は、主に専業主婦がいる世帯の税負担を軽くする仕組みです。年収が103万円を超えると控除を受けられなくなるため、女性が働く時間をあえて抑える103万円の壁として、長く弊害が指摘されてきました。そのため、共働き世帯でも控除を受けられる夫婦控除と呼ばれる仕組みの導入を検討します。
もう一つの改革の柱は、今の所得控除から税額控除への転換です。所得控除は、稼いだお金から一定額を差し引いて課税対象額を減らすため、控除額が同じだと税率の高い高所得者ほどより大きな恩恵を受けられます。一方、税額控除は所得にかかわらず税金から一定額を差し引くので、所得が多くても少なくても税の軽減額は同じです。欧州は、所得控除を税額控除に転換する改革を進めました。若年層で増えている低所得者の税額負担を軽くし、若者の働く意欲を高めて成長の基盤を固めようとしています。
(2016年9月10日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)