単身世帯の高齢者が、誰にも看取られずに亡くなる孤独死が増加しています。東京都監察医務院の調査によれば、東京23区内での高齢者の孤独死者数は3,116人で、10年前に比べ、1,000人以上増えています。孤独死者数の全体の6割を男性が占めています。女性より男性の方が発見が遅くなっています。また病気がありながら医者にかかっていないケースも多くみられます。
高齢者が大半を占め、死因は虚血性心疾患が最多です。夏の時期には熱中症で亡くなる人も多くみられます。糖尿病など医者にかかれば大事には至らない病気でも、単身者の場合は食生活などに自制がきかず、合併症で亡くなることもあります。孤独死するケースは、生活のあらゆることを放棄するセルフ・ネグレクトの状態だった人が多くなっています。配偶者との死別や人間関係のトラブルから他者との接点を断ち、掃除や洗濯、食事などの生活行為を放棄してしまいます。住環境は廃れてゴミ屋敷状態となり、周囲から隔絶し孤独死へと至ることもあります。
(2016年7月20日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)