子どもの死

 朝日新聞は、過去10年間に亡くなった子どもの死を解析しています。分析を試みたのは、2005年~2014年に行われた司法・行政解剖のうち14歳以下の子どもの記録4,952件です。事件性の判断や死因の解明のために解剖されたもので、亡くなった子ども約46千人の約1割にあたります。予防につながる要因があった事故死849件のうち、睡眠時の事故に次いで多かったのが、溺死の212件です。その半数超の114件は自宅の浴室でした。睡眠時の事故は0歳児に集中しています。1歳を過ぎると浴室での溺死や誤嚥の危険が高まり、自宅外の溺死や転落は10歳を過ぎても多く起きています。
 一方、虐待や自殺のように社会的な要因が大きい1,067件の例では、産み落としの379件のほか、親族や家族による虐待死は207件、無理心中は疑いを含め188件でした。産み落としや虐待、無理心中などの背景には、貧因や孤立などの社会問題があり、周囲や行政の適切な対応が必要となります。日本には子どもの死を登録し、検証する制度がありません。日本子ども虐待防止学会や日本小児科学会、日本法医学学会などが、制度の研究を始めたり、制度づくりを国に求めています。

(2016年8月28日 朝日新聞)
(吉村 やすのり)

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