民間の保育サービス大手が、施設の新設を抑制しています。大手6社による2016年度の設置計画数は合計47カ所となり、前年実績を4%下回っています。保育士の確保が難しくなっているためです。政府は2017年度末までに待機児童をゼロにする目標を掲げており、資金力のある民間大手による新設への期待が高まっていますが、2016年度は減少に転じる見込みです。
保育の現場を担う保育士の採用が難しくなってきています。責任が重い割に給与水準が低いのが、人手不足の主な理由です。国の基準を満たす認可保育所、東京都の独自基準に基づく認証保育所は、ともに社会福祉法人が主な担い手です。厚生労働省によると、認可保育所のうち民間企業が運営する施設の比率は、2015年4月時点で4%弱にとどまっています。認可・認証保育所以外の保育施設としては、宿泊を伴うベビーホテルや企業が設置する企業内保育所があります。しかし、自治体などの補助金が少なく、利用者の負担が大きくなりがちです。
(2016年8月27日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)