以前ならば新生児集中治療室(NICU)に入院しても生き残れなかった超低出生体重児などの子どもが、医学の進歩により救命され、人工呼吸器を装置して退院できる例が年々増えています。しかし、このような子どもはNICUを退院した後、受け入れ場所がなく、自宅でケアをしなければならないケースが増えてきており、家族の介護は大変です。厚生労働省は、痰の吸引など医療的ケアが必要な子どもが保育所などに通えるように2017年度から全国の5カ所の自治体でモデル事業を始めることにしています。
モデル事業では、医療的ケアが必要な子どもが保育所などに通う場合、子どもの健康状態をよく把握する事業所職員が同行します。保育所などには看護師を配置し、必要に応じて痰の吸引などの医療行為ができるように体制を整えます。厚生労働省はこうした取り組みを始める自治体に対して事業費の一部を支援することにしています。痰の吸引や経管栄養などの医療的ケアが必要な子どもは増えています。在宅医療を受けながら地域で生活する19歳以下の子どもが全国に1万7,078人いると推計されています。
(2017年1月11日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)