政府は、2007年のがん対策基本推進計画で、がん医療に関する相談支援や情報提供等の推進を掲げました。これを受け、それぞれの地域で中核となってがん治療にあたるがん診療連携拠点病院を中心に、がん相談支援センターが設置されています。相談支援センターの設置は、国が指定するがん診療連携拠点病院と地域がん診療病院の要件となっており、計427カ所すべてに置かれています。さらに都道府県が独自に指定する拠点病院でも整備が進んでいます。
しかし、相談員になるための条件があいまいなため、助言の質のばらつきを指摘する声があります。その要因の一つに、相談員の資格要件が明確でないことがあります。これまでは専従・専任職員に国立がん研究センターが実施する研修を一度受けさせるだけでした。このため昨年度、認定がん専門相談員制度が始まりました。まずがん対策情報センターのe-ラーニングで基礎知識を学び、テストに合格した後、さらに同センターで2日間研修し、学会などの研修でも緩和ケアや臨床心理学など助言に役立つ知識を身に付けることが必要となります。
(2016年9月4日 日本経済新聞)
(吉村 やすのり)